取引先への値上げへの対応。やってはいけない対応事例とは?自社を物価高倒産に追い込まないために

【 ある御客様からの質問 】
「請求書を見たら原料の値段が勝手に上がってます!北島先生!どうしたらよろしいでしょうか?」

昨日、ある御客様から
「北島先生!請求書を見たら勝手に原料の値段が上がっています。どうすればよろしいでしょうか?」
「供給を止められては困るので、泣き寝入りしかないのでしょうか?」 という相談を受けました。

私が絶対にしてはいけないとお伝えしたことがあります。
それは「原料の値段が上がっているみたいですけど。」と営業担当に問い合わせることです。
このようなやり取りをしていたら、原材料高騰に苦しんでいる中小企業の大変な窮状も知らない、原料会社の思うつぼです。

そもそも、このやり取りは、原料の値上げを前提にしたやりとりになっています。
おそらく原料会社の営業担当は「◎年●月から、こちらの原料は上がってます。御社にもメールしたはずです。」と言ってくるはずです。 取引条件を、メール一本で勝手にきめられたら、中小企業はたまったもんじゃありません。


私の「経験上の正解」は 以下のやり取りをするのです。

まず、この原料会社との売買基本契約書を確認してください。
契約書を確認頂き、経済条件の変更が「甲乙協議」になっていれば、協議なしの価格変更は契約違反です。

経済条件の変更が「甲乙協議」になっていない場合でも、協議無き経済条件の変更は不当だという、毅然とした態度を貫いてください。

次に、個別契約の条項を見てください。
個別契約の取り決めがあれば、一旦原料会社から頂いた見積書は、個別契約としての効力があるはずです。
契約書を確認された後は、下記の意識を、もう一度固めてください。

「意識をチェンジする。」これが最も重要なプロセスです。

「値下げの場合は、原料会社にお願いするのに、値上げの場合だけは、相手の承諾も無くメール一本で勝手に条件が変わるというのは、明らかに、アンフェアー」という意識にチェンジしてください。

自社を物価高倒産に追い込まないためには、この意識を持って頂くことから始められるべきと思います。
そして、「請求が間違ってますので訂正してください。」と伝えてください。

営業担当では無く、仕入先の請求書発行担当に伝えてください。
そうすれば 営業担当から同じく、「◎年●月から、こちらの原料は上がってます。御社にメールしたはずですけど。」と言われると思います。

しかし、初動が「勝手に原料価格が上がっているのは、原料会社のミス」という前提で始まっていますので、 安易な値上げを誘発しにくくなる取引関係が、徐々に出来上がるはずです。
原料価格が交渉も無しに勝手に上がっているようであれば、泣き寝入りはしないでください。 泣き寝入りせず、「請求が間違ってますので訂正してください。」と言ってみてください。