第76号:エンジェル税制で会社の経費を社長の未来資産に変える!

先日、ある金融機関からの紹介で、

地方都市で肥料を製造しているオーナー社長から御相談を受けました。


年商は約3億円。

借入金も約3億円。

年間の借入金返済額は、2,000万円を超えています。

この会社は、現在も私の支援が続いている会社です。


社長から最初に相談を受けた相談は、借入過多による返済原資の問題でした。


詳しく調べて参りますと、返済原資を生み出すためには、

二つの課題を解決する必要があることが分かりました。

・①原材料・仕掛品・製品在庫を減少させ、運転資金を改善すること

・②新たなカテゴリーの肥料を製造するため、新技術を導入すること

この二つです。


この二つの取り組みにより、

年商で1億2千万、運転資金で3千7百万が改善されることが判明しました。

そこで、在庫量と製造計画をAIで連動させる仕組みと、

新たなカテゴリーを製造するための技術導入を組み合わせ、

二つの課題を同時に解決する方針を定めました。

そこに必要な資金は、約800万円です。

問題は、この800万円を、どこから出すのかでした。

社長の頭の中には、三つの案がありました。

・①現在経営している会社の経費と内部留保で賄う

・②自ら所有する有価証券や不動産等の私財を活かし、役員借入金として会社へ入れる

・③金融機関から新たに借り入れる

皆様なら、どの方法を選ばれますか?

今回、76号から79号までのコラムを通じて、

この三案が、社長個人の資産とファミリービジネス群において、

どのような影響をあたえるかについて、検証を進めて参ります。

そこで、今回のコラムでは、
一つ目の「現在経営している会社の経費と内部留保で賄う案」を検証させていただきます。

会社に現金があるのであれば、会社の経費で支払う。

一見すると、これが最も分かりやすく、最も安全な方法に思えます。

借入金は増えません。

社長の個人資産も減りません。

しかも、支出を損金にできれば、法人税も減ります。

しかし、この肥料製造工場にとりまして、
本当に、この方法が最も得な方法と言えるのでしょうか?


まず、会社の経費として800万を捻出する方法を考えます。

法人実効税率を33%として考えますと、

800万円を会社の経費として支出した場合、法人税等の減少効果は、

800万円×33%=約264万円です。

したがって、税引後の実質的な資金流出は、

800万円-264万円=約536万円

となります。

「264万円も税金が減るのであれば、会社の経費にすればいいじゃないか」

と思われるオーナー社長もおられるでしょう。

しかし、私は、ここにオーナー経営特有の大きな盲点があると考えています。


会社が800万円を経費として使い、

その経費が、会社の発展に活きるのであれば十分という声もあるでしょう。

ところが、こちらの会社、昨年12月決算まで赤字で、債務超過が拡大しておりました。

昨年12月から、私が支援に入って以降、
今年1月から6月までは、毎月営業利益がプラスになったものの、

今でも、毎月の金融機関への返済が営業利益を超えています。

借入金3億円、年間返済額2,000万円超の会社にとって、

営業利益は返済原資を支えるための命綱です。

その命綱を、簡単に切り崩してよいのでしょうか?

私は、会社の費用として消えたお金を、

そして、オーナー家の将来へ何も残さない資金の使い方を、

「単線型未来投資」と呼んでいます。

単線型未来投資とは、会社の身を削り、何とか成果を残す投資です。

これに対して、私が提案したのは、

・自らの支配下に、実態ある研究開発を行うエンジェル税制認定企業を設立する

・オーナー社長個人が、その認定企業へ800万円を投資する

・認定企業がAIと新技術の研究開発を行う

・その成果を、既存の肥料製造会社の在庫削減と新商品開発へ活かす

という方法です。

私は、この方法を、「未来資産転換型未来投資」と呼んでいます。

未来資産転換型未来投資とは、税金で消えるはずのお金を、

会社には研究開発資産、

社長自身には資金の有効活用とエンジェル税制認定企業株式という

新たな未来資産を生み出す方法です。

こうした未来資産の生み出し方には、二つのパターンが御座います。

一つ目は、優遇措置Aを活用するパターンです。

役員報酬の一部を配当に変換(エンジェル投資の800万)する等、

社長の年収総額を変えずに所得構成を見直し、

役員報酬等から得た個人資金を認定企業へ投資します。

課税所得2,000万円のオーナー社長が800万円を投資した場合、

課税所得は概算で2,000万円から1,200万円へ下がります。

所得税等の減少が約284万円、翌年の住民税の減少を約80万円と見込めば、

節税効果は合計約364万円です。

しかも、オーナー家には約364万円の資金と800万円のエンジェル税制認定企業株式が残ります。

今回の肥料製造工場には、運転資金改善と新技術の導入という成果が残ります。

二つ目は、自ら所有する有価証券の譲渡益を活かし、プレシード・シード特例を使うパターンです。

仮に、社長個人で有価証券を所持しており、

800万円の株式等譲渡益をエンジェル税制認定企業へ投資する場合、

800万円×15.315%=約123万円

の所得税等を非課税とできる計算になります。

この場合も、オーナー家には約123万円の資金と800万円のエンジェル税制認定企業株式が残ります。

そして、肥料製造工場にも、運転資金改善と収益改善という成果が残ります。

もちろん、優遇措置Aとプレシード・シード特例は、
どちらかが常に優れているわけではありません。


毎年の役員報酬等による所得を活かすのであれば優遇措置A。

有価証券等の譲渡益があるのであればプレシード・シード特例。

オーナー社長の所得と資産の状況に応じ、使い分けるべきものです。

また、ここでいう「自らの支配下」とは、

自分の都合で自由にお金を動かせる空箱をつくるという意味ではありません。

外部資本要件を含む制度要件を満たし、実際に研究開発を行いながら、
オーナー社長が経営に関与する企業をつくるという意味です。

順番を絶対に間違えてはいけません。

税制優遇を受けるために会社をつくるのではありません。

御客様の未解決課題を解決するために研究開発会社をつくり、

その正しい事業活動にエンジェル税制を活かすのです。

大事なことなので、もう一度お伝えします。

800万円を会社の経費として使えば、税負担は約264万円減るかもしれません。

しかし、同じ800万円を正しい順番でエンジェル税制認定企業へ投資すれば、

優遇措置Aでは約364万円の節税効果を得ながら、オーナー家には800万円の株式が残り、

事業には研究開発資産が残る可能性があります。

見るべきものは、「今年の法人税がいくら減るか」だけではありません。

十年後、二十年後、オーナー家とファミリービジネスに、何が残っているのかです。

今回のコラムでは、

会社経費と内部留保だけで研究開発費を賄うことが、

必ずしもオーナー家にとって最善ではないことをお伝えさせていただきました。

次回は、二つ目の案である、社長の私財を活かして役員借入金を会社へ入れる方法を検証します。

一見、会社を救う社長の責任ある行動に見えるこの方法が、

なぜ将来の相続財産と無駄な納税を増やす可能性があるのか、

数字を用いてお伝えさせていただきます。

なお、本稿の税額は一定の前提を置いた概算であり、

実際の適用可否と税額は、会社・投資家・投資時期等の要件によって異なります。

実行時には、必ず税理士等の専門家へ御確認ください。

なお、利益循環型エンジェル投資、株式会社maximumの取り組み、

エンジェル税制を活用した永続不滅のファミリービジネス構築について詳しく知りたい方は、株式会社maximumまでお問い合わせください。

https://www.mku-consulting.com/maximuminc/

一人でも多くのオーナー社長が、会社の経費として消えていたお金を、

オーナー家と事業に残る未来資産へと変え続けることで、

世代を超えて未来資産を積み上げ続ける永続不滅のファミリービジネスを築かれますよう。

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