「億トレ」という言葉を、ご存じでしょうか。
株やFXの売買で一億円を超える資産を築いた個人投資家、「億トレーダー」の略で、まるで天才のように語られてきました。
「AIを使う億トレなら、株価の動きを読み切れます。」
今年に入り、億トレとAIを看板にした投資商品の宣伝を、目にする機会が増えたように思います。
貴社の余剰資金や、社長ご自身の資産の預け先として、こうした商品を勧められた方もおられるかもしれません。
しかし、私の答えは否です。
相場全体が下がれば、億トレの商品も、AIを使った商品も、一緒に下がるからです。
実際、2026年7月には、ヘッジファンドが好んで持つ銘柄群の値動きが、S&P500に対して過去20年以上で最悪の負け方をしました(米ゴールドマン・サックスの集計)。
AI関連株に集まりすぎた資金が、一斉に逆流したのです。
株価は、相場全体が上がるときは上がり、相場全体が下がるときは下がります。
その中に、個別の会社の事情があるだけです。
この五年、「年20%、30%」とうたわれた運用成績の多くは、相場全体の追い風を、運用者の腕前と見誤ったものでした。
私はこれを「追い風の錯覚」と呼んでいます。
では、運用にAIを使えば、どうでしょうか。
AIは、過去の情報の集積から、パターンを読む道具です。
世の中の流れが変わったときや、株価が長く低迷するとき、過去のパターンは通用しません。
こういう時こそ、AIを使った運用は覿面に弱いのです。
株の儲けで毎年の生活費をまかなおうとすれば、毎年勝ち続けなければなりません。
株で儲けられるのは、相場全体が上がるときだけです。
エンジェル税制というものを、ご存じですか。
エンジェル税制とは、設立間もない企業に個人が出資したとき、その個人の税を軽くする国の制度です。
こうした優遇の対象となる会社を、私はエンジェル税制認定企業と呼んでいます。
億トレの商品と並べたとき、際立つのは、株価の出発点です。
上場株は、上がりきった株価からさらに伸ばす勝負ですが、認定企業の株は、極めて低い株価からスタートします。
同じお金を使うなら、どちらに投じるべきでしょうか。
億トレの商品に預けたお金は、相場が崩れれば、うたわれた利回りとともに消えていきます。
認定企業に出資すれば、株価がどうであっても、投資家は投資した年の所得から投資額を控除でき、ビジネスファミリーが潤います。
そのうえ、低い株価を伸ばすのは、相場ではなく、家族や社員が立ち上げて自分の手で積み上げる事業です。
認定企業が育てば、グループ全体の株価も伸び、ファミリービジネスが永続的に繁栄します。
億トレに、天才などいません。
天才がいるとすれば、それはエンジェル税制認定企業です。
こんな仕組みは、ほかにありません。
AIは、相場を当てる道具としては頼りになりません。
しかし、会社が情報や数字の管理をAIに任せれば、少ない人数でも新しい事業に踏み出せます。
そして、最後に責任を取って決めるのは、AIではなく人です。
だからこそ、社員や後継者を、認定企業の「起業家」として育てることに意味があるのです。
金と人という二大要素から手を打ち、AIで情報とノウハウを補う。
これが、私のコンサルティングの組み立てです。
貴社のどの事業を切り出し、誰に託して、認定企業として立ち上げるか。
その設計こそが、私のコンサルティングの中心です。
投資でビジネスファミリーが潤い、認定企業でファミリービジネスが永続的に繁栄する。
相場に値段を決めてもらう資産ではなく、事業で値段を育てる資産こそが、オーナー社長の資産と事業の両方を守る道だと、私は信じています。
次回は、航空機や船舶のリースを組み込んだ「ファイナンスリース」が、なぜ破綻したのかをお伝えします。
こうしたテーマは、メルマガでも随時取り上げております。
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